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デザインの必要性を考える【デザインとは】

アーカイブ:2012年05月07日  カテゴリーデザインメモ  タグ  タグ:この記事は7分程で読めます。

デザインの必要性を考える【デザインとは】のイメージ

以前、デザインの必要性が分からないというクライアント向けに作った簡単な資料をこのブログにUPしたんですが、読者の方から「よく分かりませんでした」とメールをいただいてしまいました。よく考えたら伝わらなくて当然だったかもしれません。このブログの読者はクリエイターが多いので、よく勉強されている人たちが見てくださっています。にも関わらすビジネスとして、仕事を請けるために作った資料を、そのまま掲載するなんて失礼でした。
そんなわけで、反省の意味もこめて、もう少し掘り下げてデザインの必要性について紹介したいと思います。今回は【デザインとは何なのか】を考えようと思います。

最近ではデザインに対する認識が多様化していますので、真にデザインとは何かを説明するのは難しいと思います。ですが、一般的にどのような解釈がされているのかを理解するのも大切だと思い、調べてみることにしました。そんな難しいテーマの記事ですので、あまり肩を強張らせないで読んでいただければと幸いです。

そもそもデザインの意味は

英和辞典でデザインという言葉を調べてみると【設計】【意匠】と約されています。

設計とは「作るものに必要とされる機能や性能などを検討し、どのような構成で作るのかを決定すること」
意匠とは「美術・工芸・工業製品などで、その形・色・模様・配置などについて加える装飾上の工夫」

このように2つを並べてみると、デザインを日本語に約す場合、【意匠】がもっともふさわしいのではないでしょうか。
デザイン=【意匠】と考えると、デザインは見てくれる人や使う人のために何らかの工夫が施される必要があるということになります。そのため、作り手が何らかの意味をもって作っていなければ、そのものを「デザインされている」とは言えないということでしょう。このことに関しては記事の最後のほうでもう少し詳しく書きます。
では、見てくれる人や使う人はデザインに何を求めているのでしょうか?

ユーザーにとってのデザインの役割とは

一般生活者がデザインをどのように捉えているのかを考えてみたいと思います。
CLUB OZONEが行ったデザインの役割についての意識調査によると、一般生活者は【形として美しい物や機能性の高い物】を優れたデザインだと判断しています。
また、「物を買うときにデザインを重視するか」という質問に対して、一般生活者の約7割が重視すると答え、3割がジャンルによっては重視すると答えています。
この結果から、一般生活者がデザインをいかに重要だと位置づけているかが分かるかと思います。

また、調査結果には【一般生活者はデザインされる背景や思想を感じ取ろうとしている。そして、デザインや物作りに対して、自分の身の回りの生活を、より良くするアイテムを提供して欲しいと期待している】と書いてあります。要するに一般生活者はデザインの力による、暮らし・生活の質の向上を求めているということです。この結果から、形として美しい物や機能性の高い物が生活の質の向上につながるという事もわかりました。

デザインに限らず何らかの行為というものは、役割・役目・目的を果たすために存在していると考えられます。そのため、デザインという行為の役割を果たすには、ここまでの結果を踏まえ、3つの要素が必要になることが分かります。

デザインとは。美しさ・機能・メッセージ。

先ほどの項目で触れたとおり、ユーザーが求める要素を満たすには、3つの要素がデザインには必要だということがわかりました。すなわち、デザインとは、美しく機能的でメッセージが含まれている物ということです。ここでは、それらを1つ1つ考えていきたいと思います。

美しさとデザイン

一般生活者は形として美しい物を優れたデザインだと判断しています。ではいったい美しい物・美しさとは何なんでしょうか?
【美しさ】などの受け手によって解釈が変わりやすい言葉の場合、辞書などを引いて意味を調べたところで、その言葉の本質までは理解できません。ですが、ここで美しさについて詳しく調べてしまうと、それこそ美学などの学問にまで手を出さなければならなそうですので、ここでは辞書の言葉を借りることにします。

色・形・音などの調和がとれていて快く感じられるさま。人の心や態度の好ましく理想的であるさまにもいう。

このように書かれてありますので、そのように解釈します。少なくとも【美しさ】は、私達にプラスに作用していることが分かります。

機能とデザイン

一般生活者は機能的な物を求めていることが分かりましたが、ではいったいどういう物が機能的といえるのでしょうか?
まず、機能という言葉と、機能的という言葉を辞書で調べてみました。

機能【ある物事に備わっている働き】
機能的【機能が有効に発揮されるさま】

上記の意味を踏まえ、【包丁】を例に機能性の高い物とは何なのか考えてみたいと思います。まず、包丁の機能とは何でしょうか?もちろん、物を切るということです。ではその機能を有効に発揮するには何が必要となるでしょうか?

第一に、安全でなければなりません。もし包丁の柄がカッコいいが持ちにくく、すぐ落としてしまうような物だとしたらどうでしょうか? 危なくて機能を有効に発揮できません。
第二に、便利でなければなりません。もし包丁が組み立て式でカッコいいが、使いたいときにすぐに使えないとしたらどうでしょうか? 面倒で機能を有効に発揮できません。
第三に、快適でなければなりません。もし包丁の刃がギザギザでカッコいいがとても切り難くければどうでしょうか? 切るのが大変で機能を有効に発揮できません。

以上の3つが機能的である最低条件だと思います。安全で便利でなおかつ快適な物であれば、一般消費者に優れたデザインだと判断していただける可能性が高くなります。また用の美という言葉があるように、機能的なものは一般的に美しいといわれています。
※便利に関しては使う場面で異なると思います。今回は一般家庭のキッチンで考えましたが、レジャーなどでは組み立て式の包丁が便利だと判断されることもあります。

メッセージとデザイン

最初の項目で「デザインは何らかの工夫が施される必要がある」ということが分かりました。この工夫についてですが、辞書には「よい方法や手段をみつけようとして、考えをめぐらすこと」とあります。すなわち、デザインには必ずなんらかの意味(メッセージ)があるということです。
一般生活者は、先ほどの調査結果から分かるとおり、この工夫を読み解こうとします。そして、この工夫された商品や作品に共感していただけたとき、はじめてその商品や作品を認めてくれます。そのため、デザインには強いメッセージがなければならないんです。

CLUB OZONEが行った意識調査では「過去にモノを買うとき、デザイナーの思いを感じたことはありますか?」という質問もありました。この問いに対して、約8割の人が「細かいところまで配慮されているアイテムには感じる」と答えています。それだけ一般生活者は商品や作品の背景や思想を大事にしているといえるでしょう。

ここまでの情報をまとめると、やはりデザインとは、美しく機能的でメッセージが含まれている物だと考えられないでしょうか。また、これまでに紹介した以上の3つの要素を満たしている物こそ、一般生活者が求める優れたデザインと言えるのではないでしょうか。

最後に

美しいとは何かについて、ここでは辞書を引用しましたが、美しさとは、利用者や閲覧者が求めるなんらかの欲求を満たすものなのではないかと私は考えています。そのため、機能的であり、なおかつメッセージ性(その作られた物に与えられた意味)の強いものを作ることが、結果として美しさにつながるのではないかと考えています。

では、このへんで!


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