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新人WEBディレクターに教えたい。オリエンテーションとヒアリング

アーカイブ:2012年08月31日  カテゴリーディレクターの仕事  タグ  タグ:この記事は11分程で読めます。

新人WEBディレクターに教えたい。オリエンテーションとヒアリング

以前WEBディレクターの仕事について簡単に記事にしましたが、今回からもう少し詳しく、1つ1つの仕事について紹介させていただこうと思います。
WEBディレクターの仕事というのは非常に多岐にわたっていて、一言でこんな仕事をしているよ!とは言えません。Webディレクターはプロジェクトの受注からサイト企画・進行管理・運用などさまざまな業務に関わり、案件を滞りなく進めていくことが主な役割です。そのため基本的にサイト制作のすべてにWEBディレクターは顔を出します。だからこそ一言でWEBディレクターの仕事を表すのは難しいんですね。

オリエンテーション・ヒアリング


クライアントからお問い合わせを受け、受注に至るまでには大きく分けて5つのフローが存在します。その中から今回はWEBディレクターの最初の仕事であるオリエンテーションとヒアリングのポイントを紹介させていただきます。オリエンテーションやヒアリングはWEBディレクターの仕事の中でも重要な仕事の1つになります。

オリエンテーションとは

オリエンテーションというには、お客様の要望を確認する初回の打ち合わせです。WEBディレクターがお客様とお会いする最初の場になります。
このオリエンテーションには受注側である制作会社と、発注側であるクライアントにそれぞれ目的があります。それは『信頼できるか。信頼してもらえるか。』ということです。受注側は『信頼してもらう事』。発注側は『信頼できるかどうかを判断する事』。これが最大の目的です。

オリエンテーションというのは本来、制作の方向性や実現したい事などをクライアントが制作会社に説明する場のことを言います。このオリエンテーションの場で制作会社はクライアントから伺った内容に対して、不明点や確認したい事などをヒアリングすることができます。このヒアリングのときに、制作会社は大抵ヒアリングシートを用いてクライアントに質問をするんですが、新人WEBディレクターはこのヒアリングシートの記入欄を埋めることに必死になり、クライアントを質問攻めにしてしまうことがあります。これではオリエンテーションの最大の目的である『信頼してもらう事』を達成する事が難しくなってしまうでしょう。

ヒアリングシートを気にしない

クライアントを質問攻めにしてしまえば、相手は不快に感じてしまうかもしれません。だって初めて会った人に質問ばかりされてはいい気がしないでしょ?もちろん会話の流れを壊すことなく自然と質問ができればいいんですが、ヒアリングシートを上から順番に、ただただ質問をしていては気持ちよく会話を進めることができません。そのうちにお互いが機械的なやり取りをしてしまいます。一生懸命さは伝わるかもしれませんが、これではクライアントに不快感を与えてしまう可能性が高まってしまうでしょう。

ヒアリングシートの質問項目は、大抵の場合、後日メールや電話で確認することができると思います。だからそんなにあせる必要なんてないんです。
せっかく顔を合わせてお話をするんですから、電話やメールでは確認するのが難しいことを中心に伺うようにするといいでしょう。例えば、制作の背景や目的・ターゲットユーザーやデザインに関してなどからヒアリングをするといいと思います。
また、これらのことを聞くときも、話の順番などは気にする必要はありません。会話の流れをとめないようにしましょう。クライアントは話しながら頭の中で自分の考えや、伝えたい事を整理しています。だからターゲットユーザーの話からデザインの話に飛んでしまっても良いんです。

まずは背景を確認する

オリエンテーションでは『電話やメールでは確認するのが難しいことからヒアリングをしよう』と話しました。また『話の順番は気にしないでいい』と言いましたが、はじめに聞くべきことはあります。それはWEBサイトを作ろうと思ったきっかけ(背景)です。いきなり『制作の目的はなんですか?』とか『ターゲットユーザーはだれですか?』などと質問しても、クライアントはキョトンとしてしまうことがあります。これは、まだ目的やターゲットユーザーについて考えていなかったり、整理できていないことがあるからです。
なので最初に質問するべきことは、クライアントが確実にわかっている事、すなわち『WEBサイトを作ろうと思ったきっかけ(背景)』です。
背景から伺うことで、私達WEBディレクターもクライアントの目的を汲み取れたり、先ほども話したように、クライアント自身も話を進めていくうちに頭の中が整理されていきます。

聞くではなく、聞き出す

オリエンテーションの場でヒアリングを行うとき、ディレクターは単純にクライアントの要望を聞くだけではなく、要望を聞き出す(引き出す)必要があります。ヒアリングでクライアントの要望を引き出せないと、オリエンテーションの後に待ち構えている『プレゼンテーション』を失敗させてしまう可能性が高まります。

例えば。
クライアント『ターゲットは経営者層を中心としてるから、厳格さや洗練された雰囲気の感じるニュースサイトが作りたい』
ディレクター『わかりました。参考にしているサイトなどありますか?』
クライアント『Yahoo!JAPANを参考にデザインしてくれ』
ディレクター『はい。わかりました』

こんなやり取りがあったとします。どうですか?さすがにこれではマズイですよね?このままYahoo!のレイアウトやカラーを参考にしてデザイン案を作ってプレゼンに挑んでしまえば、きっと敗北するでしょう。だってYahoo!のどこに厳格さを感じたのか分からずデザインをしてしまっていますから。
この場合『なぜYahoo!を参考にしたのか』『Yahooのどこに厳格さを感じたのか』などを伺い、何を思ってYahoo!を参考にしたのか聞き出すようにしましょう。

みんなで頭を使う

もし『Yahoo!のレイアウトやカラーを参考にしたデザイン案』が、たまたまプレゼンを通過して受注ができたとしても、完成したWEBサイトが『目的を達成できるWEBサイト』になる可能性は低くいでしょう。
これは誰もがあまり頭を使わなかったことが原因です。WEBディレクターが頭を使うのはもちろんなんですが、クライアント自身にも改めて考えてもらう必要があります。WEBディレクターが思う『最善の案』をクライアントに提案し、それについて『クライアントが提示した現在の要望(案)』とを比較して、どちらがより目的を達成させられそうか。それをクライアント自身にも頭を使って考えてもらうことが大切です。こうすることでより良い新しい案が生まれるかもしれません。
WEBディレクターはWEBのプロではありますが、クライアントの業界のプロではありません。その業界に詳しいクライアント自身にも頭を使ってもらい、お互いが協力できれば『目的が達成できるWEBサイト』が作れるでしょう。自分の意見が絶対だなんて思ってはいけません。相手もプロだということを認識し、変なプライドは捨てましょう。サイトの目的を達成させることが第一なんですからです。

サイトの目的が第一

WEBディレクターは、Yahoo!を参考にすることで『サイトの目的』を達成させられるかどうかも一緒に考えなければいけません。
例えばクライアントに『Yahoo!を参考にしたのは、テーマカラーの赤が気に入ったからだよ。すごい活気を感じるというか。とにかく赤をテーマカラーにしてくれ』と言われたとしましょう。
ここでディレクターが考えるべきことは、『ターゲットユーザーが経営者であることや、厳格で洗練された雰囲気を伝えるために、Yahooo!の赤を参考にすることが最適かどうか』ということです。厳格さや洗練された雰囲気を感じるサイトを作ろうとしている時に『活気のある赤』を参考にすることが必要なのかもう1度考えましょう。この場合、赤ではサイトの目的を達成させることが難しいと判断できるかと思います。

WEBディレクターは必要に応じてクライアントの要望を否定しなければなりません。といいますか『こっちのほうがいいんじゃない?』と提案してあげる必要があります。提案をすることでクライアントを納得させられれば、少し信頼を得られるかもしれませんのでがんばりましょう。

もし『絶対に赤がいい!』とクライアントが引かない場合は、サイトそのものの目的を思い出してもらいましょう。クライアントもお金を払ってWEBサイトを作るわけですから、消費ではなく投資をしたいと考えているはずです。

信頼を得るためのポイント


オリエンテーションは信頼関係を築くことが大切だと話しましたので、ここではオリエンテーションの場でクライアントから信頼を勝ち取るためのいくつかポイントを紹介いたします。これらは私がオリエンテーションでクライアントから信頼を得るために行ってきたことです。

1.前調べをする

クライアントの会社情報やWEBサイト、プレスリリースなどはなるべく事前に調べておきましょう。
例えば、会話の中でクライアントが『当社のWEBサイトにはいろいろと問題点があって…』と言ったときに『確かにあのレイアウトでは、伝えたいメッセージが伝わりにくいですね。』と、その場でわざわざ現行サイトを開いてもらわずとも、プロとしての意見が言えれば(雑な例ですみません)、前もってきちんと調べていることが評価され、信頼につながる可能性が高まります。

2.アジェンダを送る

アジェンダとは【予定表】のことです。具体的には開催日時・場所・確認したい内容を箇条書きで記載した物です。
前もってアジェンダをメールで送っておけば、参加する人達は事前に打ち合わせの準備ができます。またアジェンダをWEBディレクターが作成することで、クライアントに『この人はしっかりこのプロジェクトをリードしてくれそうだ』と思ってもらえるかもしれません。信頼してもらえる可能性も高まります。アジェンダは簡単な資料ですが、意外に信頼につながりやすいアイテムなので是非用意するようにしましょう。

3.積極的に提案をする

【サイトの目的が第一】の項目でも少し触れましたが、提案についてもう少しお話させていただきます。クライアントはただ『ハイ!』と答えてくれるイエスマンを求めているわけではなく、WEBのプロとして意見が言えるプランナーを求めています。だから積極的により良いWEBサイトにするための提案を行いましょう。提案をするときのポイントは相手の話(意見)を聞いた上で行うことです。相手が話をしている途中で提案をするのは最悪です。人の話は最後まで聞きましょう。

4.堂々とする

新人であってもクライアントからしてみればあなたはプロです。クライアントは自分達の力だけではプロジェクトを成功させられないと判断し、プロであるあなた(会社)に連絡をしてきています。その頼りの綱であるWEBディレクターが不安で仕方のない顔をしていたらどうでしょうか?心配ですよね。あなたはプロとして訪問しているんですから堂々としましょう。
ただ、堂々とするために嘘をついてはいけません。それは信頼を失う行為です。わからないことがあれば『わかりません』と堂々と答えましょう。『それは50万円くらいでできると思います』なんてわかりもしないで概算を出してはいけません。そのシステムが500万円の費用が必要だった場合、間違いなく信頼を失ってしまいます。わからないことは会社の先輩に確認し、後日クライアントに電話やメールで伝えればそれでOKです。4年目のWEBディレクターだってわからないことだらけなんですから(私のこと?)。

5.デメリットを伝える

これが信頼を得る最大のポイントじゃないかと私は考えています。デメリットを正直に伝えれば、信頼できる人だと評価してもらえる可能性が高まります。嘘を言う人よりずっと正直者のほうが信頼できますからね。メリットばかりを伝えるのではなく、正直にデメリットも伝えるようにしましょう。デメリットを正直に伝えることで後々のクレームも防ぐこともできます。
ただ、単純にデメリットをそのまま伝えても契約に結びつけることが難しくなってしまうので、ここで【3】の提案が大切になります。クライアントの要望を形にするとデメリットが発生する場合、それを回避する方法を提案できればベストです。これが出来ればヒアリングに関してはもう1人前のWEBディレクターです。

今回はオリエンテーション・ヒアリングについて紹介させていただきました。一概には言えない部分もありましたし、全体的に例がヘタクソ感じでしたが、参考にしていただければ幸いです。
また今回したことは絶対に正しいわけではありません。場合(相手)によってはこれらの対応が間違いになることもあるので、経験をつんで自分自身で最善をオリエンテーション・ヒアリング方法を見つけてください。

では、このへんで!


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この記事へのコメント
  • リトルベア より:

    日々の業務お疲れ様です。

    去年の夏にwebデザインについて勉強中にナイトウさんのブログに行きつきました。
    当時、現在の自分の知識レベルではWebクリエーターズマニュアルさんに書かれている記事も理解できないものも多かったものの(自分がまだまだ勉強中)本当に記事の内容は面白く、解り易いものでした。

    また、サイト全体のデザインに関してもジャンルが色で分けられていて非常に解り易い上に見た目にも素敵で一目見てお気に入りのサイトとなったことを覚えています。

    最近はなかなか記事が更新されないので残念に思っているものの、きっとお忙しいのでしょうね。でもまたいつか更新されることを陰ながら楽しみにしてます!

    長文失礼しましたっ!お仕事頑張ってください。

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